理化学研究所 放射光科学研究センターの共同研究チームは、銅キューブ粒子(金属ナノ粒子)の粒子成長に伴って生じる内部の変化を、SACLA(X線自由電子レーザー[XFEL])を光源として用いたX線回折イメージング法(XDI)によって明らかにした。
SACLAにより銅キューブ粒子の内部構造変化を可視化
-金属ナノ粒子の成長機構の一端を解明-
2018.7.31 理化学研究所 プレスリリース
ナノ粒子の組成や形状、サイズは、電子顕微鏡や元素分析法などを用いて評価できますが、ナノ粒子の内部構造を観察する手法はほとんどないのが現状です。
シングルナノサイズのような小さめのナノ粒子であれば、透過型電子顕微鏡などで観察することもできますが、それよりも大きなナノ粒子の場合、観察は非常に困難で内部構造があまりわかっていませんでした。
今回、理化学研究所の共同研究チームは、XFEL-XDI法を用いて銅キューブ粒子の内部構造を可視化することに成功したとのことです。その結果、銅キューブ粒子の内部構造は均一ではなく、ナノ粒子合成時に使われる分散剤などが銅キューブ粒子内部に一部残された状態のままであることがわかってきました。
これらの知見は、合成した粒子の物性予測に生かされるだけでなく、より内部構造を制御しうる合成法の開発に役立つと思われます。