今からおよそ半世紀前、東京大学の本多先生、藤嶋先生によって、酸化チタンに光を照射すると(光触媒作用によって)水が酸素と水素に分解されることが世界で初めて発見された。これは世界中の研究者たちに大きな衝撃を与え、本多・藤嶋効果と呼ばれている。
水から水素を合成する方法として、古くから電気分解が知られているが、別途電気が必要である。光触媒を用いれば、植物の光合成のように、光を当てるだけで水から直接水素をつくりだすことができる。実用化に向け、効率向上を目指した研究が世界中で続けられている。
そういった中、神戸大学分子フォトサイエンス研究センター、大阪大学産業科学研究所の研究グループは、ナノ空間を移用したメソ結晶の新規合成法を開発、光触媒作用による水素生成量が1桁増加する光触媒の開発に成功したとのこと。
水素生成量が1桁増加する光触媒の開発に成功 ―太陽光による水素製造の実現に新たな一歩ー
2017.4.10 神戸大学ニュースリリース
2017.4.10 神戸大学ニュースリリース
それによると、酸化チタンメソ結晶のナノ空間をテンプレートに、水熱合成法によりチタン酸ストロンチウム(STO)メソ結晶の合成に成功。
メソ結晶は、STOナノ粒子が規則正しく配列した結晶性の3次元的構造体で、通常のSTOナノ粒子単独に比べて、およそ一桁大きい水素生成の光エネルギー変換効率(約7%)が得られることがわかったとのこと。
今回の研究成果によって、太陽光による高効率な水素製造の実現に向けた開発の加速が期待される。