これまでに、ガラスやフィルムの表面にナノ構造を形成し、光学機能等を発現・制御する研究開発が世界中でなされてきた。
ナノ構造によって、光学的に非常に優れた機能を発揮できることがわかってきたが、ナノ構造を大面積に付与する製造技術や、製造コストの低減などまだまだ課題が残されており、より一層の普及に向けた取り組みがなされている。
そういった中、国立大学法人北見工業大学と国立大学法人北海道大学、旭硝子株式会社の共同研究グループは、シリカ(SiO2)ナノ粒子をガラス表面の目的箇所に選択的に積層し、ナノ構造を形成することに成功した。
本研究は、ガラスの中で最も普及している、「ソーダライムガラス」へのナノ構造形成法として、工業的にも連続生産に適した手法であり、大面積化や製造コストの低減が期待されている。
ガラス表面へのナノ構造形成に成功
~SiO2ナノ粒子を目的とする場所に選択的に積み上げる手法を構築~北海道大学ニュースリリース
(2016.6.14)
この技術の応用としては、太陽電池のカバーガラス等の反射防止膜や、次世代の光メモリーとして注目されているホログラムメモリー等があげられる。
ソーラーパネルは、多くの製品は反射防止の加工がなされているが完全とはいえず、さらに反射を防ぐことによってソーラーパネルの効率向上や、反射光によるトラブルの低減(周辺住民等への反射光害低減)などが期待されている。
また、ホログラムメモリーは、深さ方向まで記録に用いるため、従来の光記録の多層化限界(~十数層程度)を回避し、テラバイト級の大容量記録が可能となるといわれている。
2016年現在、市販されている光ディスクとしては、ブルーレイディスクが容量128GB(4層)のものがあるが、もしホログラムメモリーが実用化されれば、1枚当たり数TB~数百TBまで容量を増やせる可能性がある。
【ウェブサイト】