ナノカーボンは、炭素(C)からなるナノ材料の総称である。ナノカーボンは、その形状、サイズや構造の違いから、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレンなどに分類されており、それぞれが持つ特異な性質を利用し、種々の機能性材料への応用展開が期待されている。
カーボンブラック
カーボンブラックは、古くから黒色の着色剤として利用されてきた。例えば、私たちが書道で使う墨は、昔も今も、ものを燃やした時に出る「すす」を原料にしており、この「すす」の正体が「カーボンブラック」である。
カーボンブラックは、現在では、工業的に大量に製造するプロセスが確立されており、世界で年間1,000万t以上製造されているナノ粒子である。
カーボンブラックの用途としては、黒色顔料や導電材料、ゴムの補強材(自動車などのタイヤや産業用ベルトに使用)などがある。
カーボンブラックのサイズ
1次粒子径 :50nm以下
1次粒子の形状:ほぼ球状
カーボンナノファイバー
カーボンナノファイバーは、一般的な炭素繊維の直径(5~10μm)よりも細く、直径が100nm程度のナノサイズの炭素繊維である。他の炭素材料同様、導電性を有している。アスペクト比は数千~数万以上と高アスペクト比のものが作られており、樹脂などのフィラー用途や電池の電極、触媒担体としての利用が期待されている。
カーボンナノファイバーのサイズ
直径:約100nm
長さ:数十~数百μm
カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、直径が50nm以下のナノサイズの炭素繊維である。炭素原子による六員環構造のシート(いわゆるグラフェンシート)がチューブ状(管状)に形成された構造をしている。
グラフェンシートが一層で管状に形成されたものは、単層カーボンナノチューブ(Single Wall Carbon Nano Tube (SWCNT))、グラフェンシートが多層で管状に形成されたものが多層カーボンナノチューブ(Multi Wall Carbon Nano Tube(MWCNT))と呼ばれている。