自然界で発生、存在するナノ粒子は意外と多くあります。ここではその一例を紹介します。
火山活動による噴出物(火山灰)
火山活動により、火山灰と呼ばれる主に鉱物の砂、微粒子等が大気中に噴出されるが、その中には100nm以下の超微粒子、いわゆるナノ粒子が含まれている。火山活動の程度にもよるが、火山爆発のような大規模なものは、火山灰のナノ粒子が成層圏にまで達し、すぐに地上に落下せずに長期間漂い続ける場合がある。
山火事で発生する煤(すす)
自然発生的な山火事によって、森林が燃え、ブラックカーボン(煤)などのナノ粒子が大気中に多量に拡散される。
砂漠等の砂塵
日本では、黄砂が有名。黄砂は、中国内陸部やモンゴルの砂漠・乾燥地帯の砂塵が、季節風に乗って何千㎞も離れた日本まで飛んでくる現象で、遠くに飛んでくる粒子には、粒子径の小さなナノ粒子が比較的多く含まれている。
黄砂は、中世の日本の文献に記録が残っていることから、昔から自然現象としてあったのだが、近年は、地球温暖化に伴う砂漠化の進行により規模が増大している1)。
海岸等で発生する海塩粒子
海水が岩にぶつかったり、風によって生成される波しぶきが蒸発し、析出した塩の粒子のこと。小さな粒子は風に流されて空気中を漂い、塩害の原因になったりする。
海底の熱水噴出孔で発生するナノ粒子
海底の熱水噴出孔は、超臨界状態の化学反応場が自然に形成されており、生命誕生の場所として有力視されている。生命以外にも、様々な物質が生成していると推測されており、ナノ粒子もそのひとつである。最近、地球上ではないが、カッシーニ探査機の観測結果から土星の衛星エンセラダスの地下海に海底の熱水噴出孔が見つかり、シリカナノ粒子の生成が確認された2)とのことである。